MRってどんなお仕事?〜講演会編〜

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働き方

どうも、のりおです。

前回はMRのお昼の動きについて紹介しました。

MRは説明会と言う名の弁当提供活動によって、日々医療の最前線で戦う先生方の胃袋満たし活力を提供しております。(冗談のようで結構本当のお話です)

続いてはMRの夜のお仕事についてです。

接待はあるの?

A.ありません!

現在、医療用医薬品製造販売業公正取引協議会の「公取協ガイド」によると下記の通りです。

(景品類提供の制限の原則)
第3条 医療用医薬品製造販売業者は、医療機関等に対し、医療用医薬品の取引を不当に誘引する手段として、景品類を提供してはならない。ただし、前条第5項ただし書に規定する経済上の利益については、この限りでない。
(提供が制限される例)
第4条 前条の規定に違反する景品類の提供を例示すると、次のとおりである。
(1)医療機関等に所属する医師、歯科医師その他の医療担当者に対し、医療用医薬品の選択又は購入を誘引する手段として提供する金品、旅行招待、きょう応等
(2)医療機関等に対し、医療用医薬品の選択又は購入を誘引する手段として無償で提供する医療用医薬品

この「きょう応」というのがいわゆる接待で業界ルールとして明確に禁止されています

一部抜け道的に「商談の打ち合わせに伴う飲食は1人単価5000円を上限とする」となっていますが、正直接待として単価5000円は絶望的です。そもそも病院内で打ち合わせが出来ない場合に限定されるため、適応されるケースは殆どないと考えて良いでしょう。

接待関連行為の運用基準が2012年4月に適用となって以降は、製薬業界では接待は禁止されております。(上記以外に「慰労会」と称した抜け道も存在しますが、それがメインで医師の処方が決まるようなことは少ないでしょう)

MRに対し『医者に接待して大変そう』というイメージを持たれている方もいるかも知れませんが、それは10年近く前までのイメージになります。MRは『接待も仕事の一部だ』『むしろ接待こそが仕事そのものだ』という論調もあったのも今は昔。接待で夜の帰りが遅くなるようなことは一切ありませんのでご安心下さい。笑

私は接待が完全になくなってからこの業界に入ってきたので、当時接待がどのようにされていたかは伝え聞いた話しか知りませんが

  • 平日の朝(クリニックの休診日)からゴルフのお供
  • 経費申請で桁を一桁間違えて100万円申請しても普通に通る
  • 翌日どんな予定があっても麻雀に呼び出されたらしっかり対応(ギリギリ負ける打ち方をする)
  • 二次会で使いすぎてスナックが顔パス状態
  • 風俗も経費で落とせる裏技がある(らしい)

現在30代後半以上のMRの方は接待経験世代になります。必ず武勇伝かトンデモエピソードの一つや二つはあるかと思いますので、是非聞いてみましょう。聞かなくても勝手に話してくれるかも知れませんが…笑

そういう方と一緒に飲むととにかく気遣いが凄いことに気づきます。店のチョイス、座る位置、上着の掛ける位置の確認、オーダーのタイミング、お酒の残量の確認、会計の済ませ方…。挙げていけばキリがありませんが「なんでそんなとこまで気づくの!?」ってレベルで当たり前のように気遣いができています。逆に気遣いできていない若手に厳しかったりするので、諸先輩方と飲みに行くときはかなり緊張します。

医療用医薬品製造販売業公正取引協議会

夜のお仕事の中心は講演会に

前回の記事ではMRが医師に自社製品のプレゼンをする「説明会」をご紹介させて頂きました。どの業界もそうかも知れませんが、販売している側から受ける宣伝はどこか「いい事ばかり」言っていて胡散臭い感じがしませんか?

Amazonでも楽天でも食べログでも、みなさんが必ず見られるのは「口コミ」ではないでしょうか。さらにインフルエンサーと呼ばれる人が発信した口コミには絶大な影響がもたらされます。

医療の業界でもKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれるいわゆるインフルエンサーが存在します。大学病院の教授であったり、学会で理事など要職に就いている偉い先生方です。そういった先生が一般の先生方に最新の医療に関するトピックスについて講演する機会を講演会と言います。

製薬会社としてはインフルエンサーの先生に「この薬剤いいですよー」と言ってもらうことで講演会を自社医薬品の宣伝の場とすることを目的としています。最近はコロナの影響でWeb上での講演会が主流になりつつあります

Dr. to Dr. の情報提供は信頼度が高く、MRが同じことを何度言っても理解されなかったことが、偉い先生の一言でたちまち治療方針が変わってしまったりします。演者のKOLの先生には5〜15万円の謝礼金を支払うので多少は自社医薬品についてリップサービスをしてくれます。むしろしてくれないと困ります。ただあまり手放しに勧めすぎても逆に胡散臭くなってしまいます。その辺のさじ加減が上手な演者は全国でも引っ張りだこになります。

そんな講演会は、クリニックの通常診療が終わってからの時間帯で開催されます。地域にもよりますが19時〜19時半くらいから開始で21時くらいまでが一般的でしょうか。診察終わりの疲れているところ、自身の診療を更にブラッシュアップしようと講演会に出席される先生方のバイタリティーには頭が下がります。

講演会は通常ホテルや医師会館などで行われることが多いです。スクリーンやプロジェクターなどの機材の準備、受付業務、照明、影アナ(進行)、演者の先生のPCのセッティングなどが主なMRの業務です。演者が遠方から来られる場合は、交通や宿泊も手配しなければいけません。

講演会終了後は、「情報交換会」と呼ばれる立食パーティーが開かれることがあります。聴講に来られた先生方同士の交流やKOLの先生に講演内容について質問をぶつけたり、医師の社交性が垣間見られます。結構この情報交換会を楽しみに講演会に来る先生もいます。医者同士の貴重な社交場といった趣でしょうか。

ホテルではちょっといい感じのビュッフェが振る舞われます

この情報交換会では食事やお酒が振る舞われます。一般的にはビュッフェ形式で好きな料理をお皿にとってテーブルで立ちながら飲食します。これは供応に当たらないため業界ルール的にも大丈夫です。着座になると「情報交換」という本来の目的が達成されないためNGという謎のルールです。

情報交換会が終わり先生方が帰った後は、社内の講演会関係者でちょっとした打ち上げを行うことが多いです。ビュッフェが少し残っているケースがあり、ホテル側のご厚意で少し食べさせてもらえます。ローストビーフやお寿司は人気なので残っていればラッキーです。なぜかこの残ったビュッフェがやたら美味しく感じますが、時間がない中での立ち食いなので掻き込んでしまって若干お腹が痛くなるのはMRあるあるではないでしょうか。

残念ながら現在はコロナの影響で情報交換会はほとんど行われておりません。情報交換会をしない場合は、講演会中にお弁当を提供し食べながら聴講してもらうという形式をとります。食事の時間も削って勉強のために自社の講演会に出席いただいた先生には、せめて何か召し上がっていただきたいという思いで提供しています。

お弁当は参加人数がはっきりと分からないときは、少し多めに準備しています。当然多少余ります。余ったお弁当を持って帰りたいと言い出す医者もいますが、これは処方を誘引する「景品類」とみなされ提供できません。勿体ないですが処分しなくてはいけません。(処分方法は現場判断です、各MRの家庭に持ち帰って“処分”することもあります)

後片付けなどで帰れる時間は22時くらいになることもあります。講演会中はずっと気を張っていないといけないので結構ヘトヘトになります。講演会は多いときは週に3日あることもあります。ならすと月に2〜3回位が一般的でしょうか。この辺は会社やエリアによるかと思います。

逆に演者となるKOLの担当MRは大変です。全国各地で呼ばれるので出張の連続です。筆者も経験しましたが、体力的にもキツいですし、飛行機や新幹線、タクシーなど交通の手配がめちゃくちゃ面倒です。その分、KOLの先生と一緒にいる時間が長くなるので仲良くなれたりします。あと会社によるかもしれませんが勝手に自分でマイルを貯めたり出来ます。ただしあまり社内でそのことを大声で言わないほうが良いでしょう。

旬なKOLは月に10件近く講演が立て込むこともざらにあります。「タダで全国の旅ができる」くらい思わないとやってられません。もし遠方から演者担当のMRの方が来られるような機会があれば、ちゃんと慰労をして差し上げて下さい。知らない土地で一人でご飯を食べるのは結構寂しいです。

講演会がない日の夜は?

クリニックや病院の診察終了時間を目掛けて訪問します。

昼とやることにあまり違いはありません。都会のクリニックは診察終了時間が20時までやっていたりしますが、地方は18時終わりが主流で都会のMRの方が遅くまで働いているイメージです。(地方は地方で移動時間にかなり時間がかかったりするので一概には言えませんが…)

夜はお医者さんも疲れています

夜の訪問時、注意すべきなのは先生が“お疲れモード”の場合の対処です。しっかりと労うこと、そして空気を読むことが非常に重要です。もし貴方が仕事終わり会社から帰ろうとしているときに営業マンが来て、貴方の仕事道具の売り込みをしてきたらどう思いますか?普通、そんなのどうでもいいから早く帰らせてくれ!って思いますよね?

お医者さんは勉強熱心なので自分に有用な情報だと思ったら話を聞いてくれます。優しいですね。それでも営業マンの説明がその人の自己満足レベルだとゲンナリしていまいます。時々怒られます。笑

いついかなる時も医師は精神をすり減らして診療にあたっています。診断ミス一つで訴訟になりかねませんし、看護師や事務員などのスタッフもマネジメントしなければいけません。大きな病院では上級医との関係も精神的な負担になります。診療だけでなく、研究をしている医師もいます。そういった医師の貴重な時間を頂いているという気持ちは常に持っておきましょう。そして相手にしている医師は尊敬すべき人種だと思っておいた方が得策です。

たまに人間的に「大丈夫かな?」と思うような医者もいますが、基本的にはちゃんとしている医者が大多数です。医学部という難関学部の受験を乗り越え、医師国家試験という難関資格もパスしているので当たり前といえば当たり前かもしれません。

話が横道に逸れましたが、夜の訪問にはより慎重になりましょうというお話でした。

今回のまとめ

今回はMRの夜についてフォーカスをあてました。

接待は今は昔、現在は講演会とその後にある情報交換会で医者を最大限もてなしします。

講演会がない日は診察終了後にクリニックに訪問し、製品の紹介をします。その際、空気を読むことが非常に大切です。

ということで今回のまとめ!

まとめ:MRの夜は接待はなくなったが講演会による拘束時間が長い。

MRってスキマ時間は比較的ありますが、拘束時間が長いのはネックです。それを良しとするかどうかは働き方に対する価値観でしょうか。講演会のない日はスパッと切り上げて家族との時間や自分の時間を持つことも大切かもしれません。

ブログ後記

ナイトドクターってドラマ見ていますか?あれ、結構面白いですよね。

MRという仕事をしているとついつい医療系のドラマが気になって見てしまいます。ドラマなので医師をかっこよく描いていますが、現場で接している医師もドラマに負けずスマートでタフで結構かっこいいです。(見た目は勿論役者さんには叶いませんが…笑)

医師を志す際に、「患者さんを救いたい」という想いが必ずどこかにあると思います。そのために沢山の勉強をして、非人道的な研修を乗り越えてきた人たちには正直リスペクトしかありません。そういう人達を相手にしなくてはいけないと考えるとこちらも生半可な覚悟では出来ません。

規制が厳しくてやりづらい仕事でもありますが、まだまだ奥は深いなと感じています。

最近の医療ドラマだと薬剤師にフォーカスを当てた「アンサング・シンデレラ」も面白かったですね。田中圭さんがナイトドクターと全く同じポジションなのも笑えます。

とういうことで今日はこんな感じで!それでは!

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