MRってどんなお仕事?〜担当施設編〜

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働き方

どうも、のりおです。

今まで大まかにMRという職業についての概要や仕事の流れを紹介してきました。今回は担当施設という観点でMRという仕事を見ていきたいと思います。

これからMRを目指される方で、「自分がどんな医者を相手に仕事をするのか?」具体的なイメージを持ちたい方に有用な記事になるかと思います。

また開業医・病院・大学を経験した現役MRとして、様々な立場の医者が考えている(だろう)ことを解説させていただきますので、ご参考になれば幸いです。

どういう担当施設があるの?

大きくは2つに分けることが可能です。

  1. 開業医担当(別名GP担当)
  2. 病院担当(別名HP担当)

開業医担当について

以前の記事でご紹介させていただいた「MRの働き方」は最も人数の多い「開業医」担当MRの働き方中心に説明させていただきました。GPはGeneral Practitionerの略称です。

開業医とは、皆様が風邪などを引いたとき普通にかかるクリニックや医院を指します。所謂街の「お医者さん」で入院設備などはない施設になります。

多くの新入社員はまずは開業医担当になります

開業医の特徴について簡単にまとめてみました

  • 年齢層が高め(基本40歳以上)
  • クリニックの経営者的視点を持っている
  • 幅広い疾患を診なくてはいけない

医師のキャリア形成の中で、医学部を卒業後、研修医として大学や市中病院で臨床経験を積みます。その後、医局に残って教授などのポストを目指すのか、関係のない職場に移るのかで二分されます。関係のない職場に移るとして、病院などの組織の中で勤務医として働くのか、開業医として独立するのかここでも大きく二分されます。

独立のためには、ある程度のまとまった資金も必要ですし、医学部卒業後すぐに開業するというのは現実的ではありません。多くの開業医が30代〜40代で開業しています。少し古いデータですが平均年齢は42.4歳とのこと。あるいは親が開業医で継がなくてはいけないケースも往々にしてあります。

「2015年度新規開業実態調査」日本政策金融公庫総合研究所より引用

開業するということは、そのクリニックの経営者になるということです。今まで雇われの身であった医者が経営サイドに回るわけですから、お金についてシビアになってきます。また経営者として様々なことを考えなくてはいけません。以下に開業医の院長が考えていることを例示します。

  • どうすればクリニックに患者さんがたくさん来てくれるか
  • 患者さんの単価を上げるにはどうすればよいか
  • 口コミはどうなっているか
  • クリニックのHPはどうしようか
  • スタッフの雇用はどうしようか
  • 医療機器はいつ買い換えようか
  • クレーマー患者さんにどう対応しようか
  • コロナの対応はどうしようかetc.

たくさん挙げましたがこれ以外にも多くのことを考えなくてはいけません。MRはこういった悩みを抱える相手に医薬品の営業を掛けるわけですから、まずは相手の悩みに寄り添うことが重要です。医薬品の提案でこれら全ての悩みを解決することは難しいですが、相手のためにどういった価値を提供できるか考えてできる範囲で提案すると喜ばれるでしょう。

※現在はプロモーションコードが厳格化され、MRが提供できるのは自社医薬品の情報に限定されています。少し窮屈な面は否めませんが、相手の悩みを聞くくらいはできるかなと思います。

さらに開業医では様々な疾患を幅広く診なくてはいけません。病院では「心臓のことは循環器内科」、「胃のことは消化器内科」などと臓器や疾患毎に診療科によってはっきり棲み分けがされていますが、開業医では高血圧でも胃炎でも風邪でも、どのような疾患でも患者さんから訴えがあれば基本的に全て診ます。

大学や病院で経験を積んだ医師は、専門の診療科には精通していますが、専門外については他の先生に任せたりしていて知識があまりないケースも散見されます。専門外の疾患についても最新の治療法を勉強したいという医師にとってはMRは有り難い存在になりうるでしょう。

MRのキャリアとしても大多数の新人が開業医の担当から始まります。

新人が開業に配属される理由として、失敗したときのリスクが少ないことが挙げられます。開業医の数は全国で10万件以上あり(病院は8000件程度)大きな失敗をしたとしても、クリニック1つの売上がなくなるくらいで影響は大きくありません。

参考 厚生労働省 医療施設動態調査(平成30年3月末概数)

一つもミスをすることなくキャリアを重ねる人は稀有な存在でしょう。アポイントに遅れてしまう、依頼された資材を送り忘れる、言葉遣いを間違えるetc.自分が思い返しても死ぬほど失敗してきました。ただ死なずに現在も元気にMRをやれています。窓際に追い込まれることなく、ある程度のポジションまで上がってきました。だから新人のMRさんは失敗を恐れず頑張っていただければと思います!

一方でGP担当は比較的医師と話す時間が確保できるため、新人を医者に慣れさせるという目的もあるかと思います。専門外の疾患の知識やクリニックの経営など多岐にわたる話題に対応するために、様々なことを学ばなくてはいけません。ここで社会人、さらに言えば医療人としての基礎をしっかりと固めておきましょう

病院担当について

一般的には病院は20床以上の病床を有する医療施設を指します。(19床以下は診療所と言います)

先程の章でも挙げましたが、診療所と比べると数は少ないです。しかし一軒あたりの売上が大きく、エリアへの波及効果も大きいことからある程度経験を積んだ担当者が担当するケースが多いです。

開業医はいわばオーナーである院長一人を落とせば採用や処方増を見込めますが、一般的に病院はそうはいきません。病院には院長の他、薬剤部長や事務長、各診療科の部長など様々な意思決定者がおり、それぞれが一枚岩というわけではないため複雑です。

例えば新しく自社の薬剤を採用してもらおうとしても、上記関係者が出席する薬審と呼ばれる会議体で承認を受ける必要があります。根回しなしに仲の良い先生から薬審に上げてもらったとしても、もし薬剤部長が説明を受けていなければ「そんな話は聞いていない!」と一蹴されるでしょうし、事務方に話を通しておかないと「そんな高い薬を院内には置いておけない!」と提案が却下されかねません。

そのため肝心なのが「根回し」です。正確に病院内の人間関係、力関係を見極め、スムーズに薬審が通過するように事前にしっかりと根回しをしておくこと。薬審のスケジュールから逆算し、上げるタイミング、どの先生から上げてもらうか、事前にどの先生に話を通しておくか、メリットの伝え方、今ざっと考えただけでもこれだけありますが、これらを抜け漏れなく適切なタイミングで実施しなくてはいけません。

病院である薬剤が採用された場合、近隣の開業医の先生も処方を初めます。退院した患者さんに出されていた薬剤は、開業医でも基本継続されるためです。あるいはその病院が有名な病院であった場合、「あの〇〇病院が認めた薬剤」としてそれだけで使われることもあります。

このような効果を波及効果といいます。大きな病院ほど波及効果が大きいため、製薬各社はそういった病院で新薬の早期採用を目指します。自ずとそういった施設の担当者へは薬審最速通過へのプレッシャーが高くなります。

講演会について

病院では近隣エリアから積極的に患者の受け入れを行っています。『紹介患者が経営の鍵を握っている』(by 私の担当病院の院長)と言われている通り、近隣開業医からの患者の紹介は病院の重要な収入源になっています。紹介患者を増やす(≒病院の収益を上げる)ために日頃よりエリアの開業医の先生方と良好なコミュニケーションを図る必要があります。

こういった連携のことを「病診連携」と呼びますが、この病診連携を目的として講演会が行われます。病院の偉い先生が最新の治療や開業医の先生方の役に立つトピックスを講演することで、地域の開業医の先生方に病院をアピールするのです。

講演会は開業医の先生方にとってもメリットはあります。例えば困った患者さんがいたときにどの病院に紹介するか決める上で参考になりますし、図らずとも最新の医学知識のアップデートが可能です。

製薬会社はこのような講演会をサポートすることで、講演内容に自社医薬品の宣伝を入れつつ、病診連携のサポートをすることで病院に恩を売ることができます。

病院担当者はこのような講演会をマネージメントする機会が多くあります。具体的には講演会の企画、演者の選定、講演内容・構成の検討、開業医の担当者への案内の依頼、会場の確保など上げていけばキリがありませんが「主幹(オーナー・責任者)」と呼ばれる立場になるとやるべきことが多く大変です。

大学担当とは?

病院担当の中でも更に波及効果の高い病院があります。

それは「大学病院担当」です。大学病院担当は高度なスキルや知識が要求され、チームで活動することが多くあります。

現在、日本には42の国立大学、8の公立大学、31の私立大学、計81の医学部のある大学があります。医学部があるということは、それに附属する病院もあるということです。例えば東京大学にも「東京大学医学部附属病院」という病院があります。(一般的に「東大病院」と言われていますが正式名称はこちらです)

東京や都市圏を除くエリアでは大学病院をトップとする仕組みが出来上がっています。そもそも地方の開業医や中小病院の医師はそのエリアの大学病院出身のことが多くあります。そのため大学とのパイプが強く、母校でもある大学病院の動向を細かくチェックしています。トップの大学病院の薬剤の採用状況は関連病院のみならず、近隣エリアの採用に直結します

また大学病院は研究機関という側面もあるため、医療レベルも日本の最先端を走っています。MRとしては医師の研究内容などを頭に入れながら、自社医薬品の売り込みが必要なため高度な知識とスキルが求められます。

また大学病院は組織としても巨大で、とにかく医者の数が多いです。例えば東大病院では常勤だけでも1000人近く医者がおります。そのため、会社の規模によりますが一人で担当するというより、複数人(2〜4人)のチームで担当するケースが多くあります。

製薬業界では大学病院の担当チームのチームリーダーを「チーフ」、2番目を「セカンド」と呼びます。ちなみに3番目は「サード」、4番目は「フォース」あるいは「よんばんめ」と呼ばれます。すみません。4人が担当する施設は限られているため、あまり正確な呼び方は知りません。どなたか知っていたら教えて下さい。笑

開業医担当もチームを組んで活動しますが、自分の担当施設は一人で担当しますので、結構個人プレー色が強いです。一方で大学担当は同じ施設を複数人で担当するため当然ですがチームプレーを求められます

この辺に順応できるかどうか大学担当者としての分かれ目です。セカンドやサードは特にチーフとの関係性に悩むことでしょう。チーフは担当大学の責任者として様々な重圧に耐えながらチームの運営をしています。時に厳しいことを言われることもあるかと思いますが、一日でも早く戦力になってほしい本人を思っての発言だと考えられます。

大学病院の先生は日本の最先端の医療に取り組んでいます。薬剤についても最新の知識が求められます。少なくとも先生がしている研究については概要を理解し、そこに自社医薬品がどのように関われるか語れるようにしておきましょう。(と言いながら自分はできているかと言えば少し自信はありませんが…)

ただ専門外の薬剤については最低限で良いと考えている医師もいます。なぜなら同じ病院内に自分よりその領域に詳しい専門医がいるからです。この辺はMRが手短に最新のトピックスを伝えられたら役に立てるケースがあります。

同時に病院の医師は診察に研究に、後輩医師への指導などでとにかく忙しいです。そんな忙しい先生に何十分も話す時間が取れるかというとまず無理でしょう。貰える時間は5分、いや1分もないかもしれません。下手したら廊下を歩きながら一言しか会話を交わせないこともザラにあります。そんな短い時間で伝えられる力も求められます。

総じて大学病院には各社、知識・スキルについてはエース級のMRを投入してきます。MRとしてもキャリアも大学病院担当の有無で多少変わってきます。一度でも経験しておけば、言い方が悪いかもしれませんが「箔がつく」状態になります。勿論、大学病院を担当せずとも優秀なMRさんは沢山いますし、出世のために必須かと言われればそうでもありません。

多少、キャリアの中で一言言える程度オマケが付くと考えて下さい。自分自身が現在、サードで大学病院を担当しており、そう思わないとやってられない程の過酷さ、求められるレベルの高さがあります。さらに今経験していることが他のところでも生きるだろうというイメージは明確に持てます。是非若手のMRの方には一度大学担当を経験いただきたいと思います。

病院の医師が考えていること

先程、開業医の先生が考えていることを紹介させていただきましたので病院の医者バージョンを紹介させていただきます。

  • 夜勤もあってオペもあって体力的にキツいな
  • これからの自分のキャリアどうしようかな、教授になれるかな
  • 教授に嫌われたらどっか関連病院に飛ばされるし嫌われないようにしよう
  • 新入医局員もっと集めなきゃいけないな
  • 学会の発表めんどくさいな
  • 論文の執筆めんどくさいな
  • けど自分の名前上げるためにはやらなきゃな
  • この患者さん治験か臨床研究に入れられないかな
  • 看護師さんめっちゃ高圧的で怖いな
  • 後輩全然やる気ないじゃん
  • 割の良いバイトないかな
  • 医局行事めんどくさいな
  • MRとの面会めんどくさいな
  • 自分の専門分野は知識アップデートしなきゃな
  • 給料もっと上がらないかな
  • コロナ大変

基本めんどくさい路線で攻めましたが、論文書くことが好きな先生もいると思いますし、医局行事が大好きな医師もいます。開業医がクリニックの経営に考えが及んでいましたが、病院(特に大学病院)の医師は医局について悩んでいます。医局は自分のキャリアに直結するため避けては通れません。そのあたりは社内のことで悩んでいる会社員とあまり変わらないかもしれません笑

様々な悩みや考え事があるなかでMRの占める割合はとても小さいです。何なら忙しい中営業をかけられて「勘弁してほしいなー」とネガティブな印象を持っている先生も多くいます。忙しい医師に悪い印象を与えることなく、いかにインパクトを残すか。「このMRに合うと有用な情報を貰えるな」と思ってもらえるかが重要です。

まとめ

MRは大きく分けて①開業医担当②病院担当があることをお伝えさせていただきました。相手は同じ医師免許を持った医師ですが、考えていること、求められていることは大きく異なります。

新人MRとしてのキャリアとしてメジャーなのは、開業医担当→病院担当→大学病院担当という流れでしょうか。私を含め30代前半のMRの多くはこのようなキャリアの進め方ですが、今後はどうなんでしょうか。もしかしたらもっと早く大学を担当させるようになってくるかもしれませんし、開業医に特化したMRとして知識やスキルを身につけることが求めらるかもしれません。

一つ言えることは「大学担当(大病院)をしているから偉いというわけではない」ということです。担当している先生が偉いだけであって、担当者は偉くありません。その点を勘違いしてはいけません。結構勘違いして社内で反感を買っている担当者は多いです。波及効果の高い病院を担当しているというプライドはしっかりと持ちつつ、謙虚に行きましょう。笑

今日はそんな感じで、それでは!

ブログ後記

先日、ワクチン2回目接種を終えました。職域接種なのでモデルナを打ちましたが、翌日に38℃台の発熱。解熱鎮痛薬(ロキソニン)を飲んで事なきを得ましたが、接種した職場の同僚達は2回目軒並み発熱しています。

世の中(特にSNS)では、反ワクチンの方がかなり幅を利かせているようですね。

この業界にいると、エビデンスが非常に重要だという認識が強くなります。Youtubeで発信しているどこの誰か分からない人の説明より、有名な科学雑誌に掲載されている論文・データの方が信頼度が高いということも常識なんですが、それを知らないとYoutubeを信じてしまう人は多いですね。

ワクチンは全く副反応がなくて、コロナに完全に予防できるとは考えていません。中にはワクチン接種によって不幸にも重篤な副反応を起こしてしまう人もいるかも知れませんし、接種しても感染してしまう人もいるでしょう。

白か黒かなんてことはなくて、その中間の色を正確に見極め判断する必要があるかと思います。人によって色の見え方は違いますが、知らない間に変なサングラスを掛けないように気をつけたいですね。

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