前回のブログでMRの大まかな仕事をお伝えさせて頂きました。
詳細は前回の記事をご覧頂きたいのですが、一言でいうと製薬企業の営業部門として医療関係者に対してお薬に関する情報を集めたり、提供したりするお仕事です。
今回はそんなMRのリアルなお仕事事情についてご紹介させて頂きます。
今回の記事も前回同様、下記の方のお役に立つ内容になっております。
- 新卒でMRへの就職を検討している
- 他業界からMRへの転職を考えている
MRってどれくらいいるの?
現在、日本国内では57,158名のMRがいると報告されています。企業数としては200社あり、筆者もそのうちの1社に勤めているMRです。
https://www.mre.or.jp/info/pdfs/2020hakusyo-1-5.pdfMR数はここ数年減少傾向にあり、ピーク時(2013年)の65,752名からは8,000名以上減っています。直近ですと内資大手のアステラス製薬が450名の早期退職を募るとのニュースもありました。(MRのみが対象という訳ではないようですが…)
国内最大手の武田薬品も昨年の夏頃「フューチャー・キャリア・プログラム」という名の30歳以上の社員を対象とした早期退職を敢行しました。人数は不明ですが、30歳以上が対象というとまさに筆者にも降り掛かってくる年齢だったので他社ながらドキドキしていまいました。(※筆者は武田薬品のMRではありません)
MRを減らしていく流れは、上記に挙げた早期退職募集の他、各社MRの新卒採用の人数を絞るようになってきており、今後もこの傾向は続くように思われます。
実はMRってお給料も結構高い水準なので(※この件は別記事で紹介します)コストが掛かるんです。
コスト面だけでなく、働き方の面でもMRの適正数の見直しがされています。個人的な見解ですが今までの数が過剰だったのかなと思います。最近になってMRの働き方、存在意義が大きく変わってきたためです。
MRという仕事の昔と今
かつて製薬会社の営業は「プロパー」と呼ばれており、その活動も現在のMRとは大きく異なっていました。
昔のMRはこんな仕事が当たり前でした。
- 医者を高級料亭でもてなす
- 医者とキャバクラで一緒に騒ぐ
- 医者とゴルフをする
- 医局に食事を届ける
- 医者が学会で発表するスライドを作成する
- 医者の旅行の手配をする
- 医局や病院の納涼会や忘年会を手配し、盛り上げる
- 医者の家の掃除や引越し、犬の散歩を手伝う
挙げていけばキリがありませんが、上記以外にも「医者のお手伝いさん(便利屋)」的な仕事を数多く、それも各社競うようにやってきました。
今では信じられませんが医薬品という命に関わる製品を扱うにも関わらず、倫理観の欠片もない活動をしていたのです。
1990年代で世間の目も厳しくなり、このような医者に不要な薬の処方を誘引するような行動は止めようという流れになりました。名称も世界基準に合わせるように現在のMRと呼ばれるようになりました。
2010年代前半には製薬業界全体で接待が完全に禁止されました。これからこの業界に飛び込もうと思われている方で、「医者の接待とか無理〜」「飲みが仕事みたいな前時代的な働き方無理〜」と思っている貴方!安心して下さい!
接待が禁止になってしまった後、いかに自社医薬品の売上を伸ばすか?製薬企業の幹部達は考えた訳です。
とにかく薬の名前を覚えてもらうために、人海戦術だ!
接待で使わなくなった経費を人件費にあて、MRを増やして医者との接点を増やしました。同じような効果の薬が何種類かあった場合、医者は何を持って最終的に患者に処方する薬を選ぶのでしょうか?
答えは「何となく」です。その「何となく」には担当者との関係性や効果や副作用に関する印象など様々です。恋愛でも「ザイアンスの単純接触効果」と呼ばれる心理的効果がよく語られますが、医薬品の営業でも同様に各社この効果を使う戦略を立てました。
結果として、下記のような戦略が一般的になりました。
- とにかく医者に会いまくれ!
- とにかく自社医薬品の名前を口に出せ!
- ワンポイントのセールストークで印象付けろ!
営業の科学としては理に適っています。実際に各社のこの人海戦術で高血圧や脂質異常症、糖尿病の治療薬は日本の医薬品産業を牽引していったと言っても過言ではありません。一般的に製品の名前を口に出すことをこの業界では「コール」と呼び、「今日は10コールしました!」という使い方がされます。以前はコール数の多いMR=優秀という構図が成り立っていました。
しかし医薬品という情報の重要性が高く、生命に関わる倫理的価値観が重要視される営業として製品名をコールするだけの戦略はどうなの?と思うわけです。
これは筆者だけでなく業界全体が気付き初めたことです。実際にMRの数は減少傾向にありますし、各社情報の質の高さに重きを置くようになってきました。(一部コールで戦っている会社もあることは否定しませんが…)
ある意味、前回の記事で書いたようなMRの本質的な「正しい情報を伝え、現場の情報を集める」という基本の活動が重要視されるようになってきたのです。今後は各社、質の高い情報を出す努力を惜しまないでしょうし、それをいかに伝えるかMRの「伝える力」にも期待が高まるところです。
更に現場の医療関係者から情報を集めるという点では、飲みなどを使わずに日常的な訪問で関係性を構築し、信頼を獲得する必要があります。
今回の記事のまとめ
今回の記事ではMRの人数の歴史的な流れから、仕事内容の移り変わりをご紹介させて頂きました。
常にスタイルが変わり続けているのが特徴的ですね。今後もITの発達や医療技術向上によってMRの働き方や求められるスキルも大きく変わって来る可能性が非常に高いです。
いずれにしても常に時代の流れを読み、求められる働きをするということが重要です。これは製薬業界に限った話ではないかも知れませんが。
ということで今回のまとめです。
結論:接待なしで医療関係者に信頼される存在になるのは生半可じゃない!
一部の方から「MR不要論」や「MRはオワコンだ」という声もあるのは承知していますが、まだまだやり込み要素のあるゲームだと感じています。ちょっとルールは厳しすぎるかなと思いますが…笑
という訳で今日はそんな感じで、それでは!
ブログ後記
Twiiterでもつぶやきましたが、最近カラオケに行っていません。そして大声で歌いたいなと思っています。
お家時間が増えたということは、家族時間も増えたということで。飲み会にも行かないのでその流れで行くこともないですし、一人カラオケにいくのも妻に子供の面倒をすべて任せる訳にも行かず。
最近聴いている曲で歌いたいなと思うのは優里の「ドライフラワー」ですね〜、歌っていて気持ちよさそう。自分に酔ってしまいそう。いい曲です。
Twitterでフォローさせて頂いているウォーレンHIBIKI @ブログ&投資さんの記事です。ブログ同期の方です。(個人的に思っている)
自分はそんなに歌は上手くないですが、取りあえず「ドライフラワー」を聴き込んでます。笑
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